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半屋外空間とは

「半屋外空間」とは屋外と屋内の中間的な場所を指します。例えば、日本人の暮らしに根付いていた「縁側」。私自身は縁側のある家に住んだ事はありませんが、祖父母の古い家には、庭+木製雨戸+木製ガラス戸+縁側+障子の一連のしつらえがあり、子供の格好の遊び場でした。そんな経験もあるからか、自邸を建てるなら家の半分は半屋外空間にしたい!くらいの気持ちです。何故って室内とは格段に違い、広々として居心地が良いからです。

半屋外空間の今昔

昔の家は建具や壁に隙間が多く、十分な気密断熱がとれませんでした。縁側の目的とは、雨戸、建具、縁側空間、障子と何重にもスキマ風をガードして、居住空間の気密断熱を確保する事にありました。着物の重ね着と同じ発想ですね。しかし昨今は、あらゆる建材の性能が格段に上がり、サッシ1枚で十分に断熱気密を確保できる、そんな家のつくりとなっています。言うなればフリース素材の洋服というところでしょうか。もはや性能的には縁側は不要かもしれませんが、居心地が良い空間という事には変わりはなく、逆に高気密化が進む昨今、より積極的に外部を取り込んだ家づくりが求められています。そんな暮らしの中の半屋外空間の事例を5つの場所についてご紹介します。

①玄関の前庭として半屋外空間を取り入れる

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大富の家_arai architects
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三ケ名の家_arai architects
毎日、出かけて帰ってくる場所である玄関。半屋外空間を取り入れる事で、家に入る前に一呼吸ついたり、季節を感じたり、来客をもてなしたりと、ほんの一瞬ですが大事にしたい時間と場所です。

②「食」の場所は外に開きたい

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三ケ名の家__arai architects
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国吉田の家_arai architects
お外を見ながら料理したり、デッキで食事を楽しんだり…家族が集う「食」の場所には、積極的に屋外を取り入れたいですね。天気や季節感をも味わえる空間であって欲しいと思います。

③空を見渡す屋上ルーフバルコニー

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三ケ名の家_arai architects
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大富の家_arai architects
住宅で一般的な半屋外空間である「ベランダ」が、「外に張り出した」「屋根付き」である事に対し、「ルーフバルコニー」は下階の屋根部分にあり、また屋根もありません。ですからルーフバルコニーは屋根がないぶん日当たりが良く、また広さがあるので、間取りを工夫すれば屋外の一室、という捉え方もできるのが魅力ですね。

④土間リビング・土間玄関

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大手の家_arai architects
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大富の家_arai architects

「土間」とは、家の中の床板をはらず地面のままになっている空間のことを指します。本来は作業の為の場であり、「地面と同じ扱いの屋内の部屋」という性格がありましたが、今では玄関の靴を脱ぐ半畳程度スペースのこと指します。最近は、外の一部の様に使えるおおらかな空間の魅力が見直され、リビングや玄関に広い土間をしつらえる事が多くなりました。

⑤明るく気持ちいいサニタリー(水まわり)

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三ケ名の家_arai architects
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流山の家_arai architects

サニタリーが家事や洗面、脱衣のための、裏方スペースになっていませんか?日々の生活は朝、洗面する事からはじまり、夜の入浴で終わります。まさにサニタリーに始まり終わる日々の生活。だからこそ、自然光を取り入れ、外にも気軽に出れる様なしつらえは、格段に暮らしを快適にします。