国吉田の家
[story]
外壁の一面をちょっとかしげたら、四角い建物がちょっとお茶目になり、内部には斜めの壁に包まれている様な大空間が生まれた。「ものの見方をちょっとずらす」と建築はずっと面白くなります。
[concept]
敷地は茶畑が広がる丘の斜面地にあり、麓に静岡のまちを一望する、茶畑と住宅が混在する場所。クライアントはこの景観と環境で暮らしたいと、新しく開発された土地を購入した。家族4人、34坪、木造2階建ての計画である。素晴らしい眺望を生かす工夫と、そして北斜面のため日照時間が短く、採光の確保が課題となった。また敷地は道路から高さ3m程のコンクリート擁壁上にあり、道路からの見え方にも工夫が求められた。
まずは平面計画は2階にリビング、1階にダイニングキッチンとし吹き抜けを介してつながる構成とした。2階リビングは広大な景観を望む麓側に、1階ダイニングキッチンは一面の茶畑を望む山側に配置し、山側と麓側の両方の景観を楽しめる空間が生まれた。そもそも私たちは、できれば家族がつどうLDKなどは地面に近い1階に配置する方が良いと考えている。土の庭には暮らしに季節の移ろいを届け、また日常的に使う庭は手入れも行き届きやすい。今回は1階の採光条件が良くはないのでLDKを2階とする案も検討したが、やはり庭から山側の茶畑へと続く景観、環境も取り入れたいと考えた結果、LDKを1階と2階に分ける案となった。
外観については、外壁一面を斜めにし、またひな壇のコンクリート擁壁は、手摺もかねた木ルーバーで壁一面を覆った。立地を生かした外観デザインは、遠くからでもその佇まいの伝わる家となった。
撮影:西川公郎